主なディスレクシアの原因
LD(学習障害)の原因もやはり脳にあります。
では、脳のどこに原因があるのでしょうか。
実は、まだはっきりとした原因がわかっていないのが現状です。
さまざまな要因があり、少しずつ明らかになってきているようなので、以下の6つを紹介したいと思います。
① 短期記憶
② 音韻処理
③ 正書的処理
④ 視覚情報処理
⑤ 協調運動
⑥ 継次処理と同時処理
難しい言葉が並んでいますが、実は、普段私たちが何気なく行っている事ばかりなんです。いつも無意識でやっていることを少し意識してみるとわかりやすいと思います。
それでは、まずは①から③までの前半戦です。
前半戦は、主にディスレクシアの原因です。
① 短期記憶
これは、LDのディスレクシア(読字障害)、ディスグラフィア(書字表出障害)、ディスカリキュア(算数障害)、全ての特徴に共通するものです。
短期記憶とは、数十秒から数十分というほんの少しの間、頭の中に情報をとどめておくことです。とどめておける情報は少ないのですが、学習には不可欠な脳の機能です。
文章を読む場合も話の流れを頭に入れておく必要がありますし、文字を書く場合も、見たものを少しの間覚えておかないといけません。計算をする場合も同じです。九九や暗算はもちろんですし、計算している途中式の流れも記憶にとどめておく必要があります。
このように、脳の短期記憶の働きがうまくいっていなことがLDには大きく関係していると思われます。
② 音韻処理
これはディスレクシアの原因と考えられているものです。
脳が文字を処理する場合、音韻処理と正書法的処理がされます。
音韻処理とは、会話をするときに聞き分けている「音」と「文字」を一致させることです。まず文字を読むためには、一度「音」にすることで意味のある言語として認識されます。
これがうまくいかないと、「音」と「文字」を一致させるのに時間がかかります。その結果、読み飛ばしが多くなってしまう、単語や文節をまとまりで捉えることができず、一字一字読む、変なところで区切るなどと黙読や音読が苦手となってしまうのです。
文字を読む事が苦手なので、結果的に書くことも苦手になってしまうディスレクシア。この原因は、脳が言葉を処理するプロセスにあります。そもそも、人間が読み書きをするようになった歴史も浅いので脳が十分に対応できていないとも考えられています。
③ 正書法的処理
これもディスレクシアの原因と考えられているものです。②の音韻処理の後、この正書法的処理がされ、脳が文字を認識します。
正書法的処理とは、「単語と単語をつなげて文章にすること」と「読み方が同じでも書き方が異なるものを区別すること」です。例えば、同じ「へ」でも「裏山へ行って、へびの脱皮を見た。」のように「え」と読む場合と「へ」と読む場合があります。また、「卵」と「玉子」は漢字は違っていても意味は同じです。「おねいさん」とは書かず「おねえさん」が正解です。テストによく出る「納める・収める・治める・修める」の違いがわかるのも正書法的処理のおかげです。
この正書法的処理がうまく機能しないと、今挙げた例えができなくなってしまうということです。これは、結果的に「書けない」に繋がってしまい、ディスレクシアは読み書き障害とも呼ばれています。書くことに困難を抱えるディスグラフィアの原因の一つとも考えられています。
前半戦はディスレクシアが中心でしたが、難しい言葉が多いので一度休憩をしてから後半戦に参ります。