自閉症スペクトラムの特徴
自閉症スペクトラムとは、いくつかの自閉性障害がまとめられたものです。
その自閉性障害には、言葉の遅れや知的障害、相互的なコミュニケーションをとるのが難しい「自閉症」
言葉の遅れがなく、知的レベルが高く、比較的コミュニケーションもとりやすい「アスペルガー症候群」
この2つに、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を加えた「広汎性発達障害」
自閉症の中でもアスペルガー症候群とほぼ同じ症状で、知的障害はなく言語発達において遅れがみられる「高機能自閉症」(自閉症の約3割)
一般的には知的障害を伴うと言われている「カナー型自閉症」
などがあります。
ちなみに・・・アスペルガーとカナーは人の名前から来ています。
二人はほぼ同時期に「自閉症」についての論文を発表しました。
当時は自閉症という言葉を使っていませんでしたが、自閉症を発見したと言われている二人です。
実は、ちょうど第二次世界大戦中で二人に接点はなかったそうです。まさに偶然の一致!?なのかは諸説あるようです。
ただ、アメリカにいたカナーの方が論文の発表が早く、しかも英語で書かれていたため、多くの人に読まれ、注目度も高かったようです。
アスペルガーは敗戦国のオーストリアで、かつドイツ語で書かれていたため、英語圏では翻訳さえされていなかったのです。
話は戻って、これらの自閉性障害には、対人関係が苦手、こだわりが強いといった特性が共通しています。
ただ、それぞれの症状は境界線を引くのがとても難しく、成長するにしたがって症状が変わることもあります。
そのため、連続体を意味する「スペクトラム」という言葉を使って、どの障害も区別せず、まとめる考え方になりました。
それが「自閉症スペクトラム」です。
この「自閉症スペクトラム」は1990年代頃から、専門家の間で一般的になった呼び方です。それが、2013年に出版されたアメリカ精神医学会の「DMS-5」(『精神疾患の判断・統計マニュアル』第5版)で、いくつかあった自閉性障害が、診断名としてまとめられました。
自閉症スペクトラムの特徴としては以下の2つです。
① 対人関係とコミュニケーションが苦手
② 強いこだわり
具体的には、
① 対人関係とコミュニケーションが苦手
人の表情や気持ちが読めない、失礼なことを言ってしまう、比喩や皮肉がわからない、仲間意識が持てない、アイコンタクトがとれない、場に合ったふさわしい行動が難しい、一方的に話せても双方向のコミュニケーションが苦手など。
② 強いこだわり
興味や関心にかたよりがあり、幅も狭い、急な予定変更に対応できない、行動をすぐ切り替えることが難しい、儀式的なあいさつ、同じ道、同じ食べ物などパターン化されたものにこだわる、痛みや温度に無関心、光やにおい、音に過敏、触られることが苦手など。
自閉症スペクトラムの子どもは、その言動が周りから理解されにくい上に、周りの空気が読めない、コミュニケーションが苦手と、自分から関わりを築くことも難しいので、ストレスをためやすく問題を抱え込みやすいのです。
「治さなくてはならない」だと、その子自身の感覚や感情を否定することにも繋がります。その子が感じていることを受け止め、肯定した上で、社会的に適応できるようなトレーニングなどの支援が必要になります。