自閉症スペクトラム 乳幼児期の特徴
自閉症スペクトラムの子どもは、赤ちゃんの頃から既に特徴的な行動があらわれることがあります。
1歳ころの特徴的な行動としては、
- 「目が合いにくい」
- 「抱っこを嫌がる」
- 「あやしても喜ばない」などです。
有名なのは「クレーン現象」という行動です。
これは、欲しい物があるとき、「取って」と言わず、大人の手をつかんで欲しい物のところまで引っ張っていき、取ってもらおうとする動作です。
ただ、このクレーン現象は特別な動作ではなく、指差しができるようになるまで、また言葉が出てくるまでは子どもが普通に行うものです。心配ではありますが、これだけで自閉症を疑うことでもないのです。
また、自閉症スペクトラムの中核でもある自閉症の7割は知的障害、言葉の遅れが見られます。
そのため、耳は聞こえているのに
「名前を呼んでも振り向かない」
「話しかけても聞こえていない様子」など、言葉の理解に遅れがでてきます。
それに伴い、2、3歳になっても
「言葉を話さない」などといった特徴があります。
この2、3歳頃になると、
- 「こだわりの強さが目立つ」
- 「マイペースすぎる」
- 「友達との関係がうまくいかない」などと
日常的な『困った』の壁にぶつかるようになります。
そういったこともあり、自閉症スペクトラムは3歳以降には正式な診断がおりるようになるのです。
ただ、知的障害や言葉の遅れがない、アスペルガー症候群の場合、2、3歳のときに気がつかれないことがあります。さらに、知的レベルが高いため、学校でも気がつかれることなく社会に出ます。そこで人間関係に悩み、初めてわかることもあるのです。
しかし、自閉症スペクトラムは『困った』ばかりではありません。
自閉症スペクトラムの一部などにみられる、ごく特定の分野に限ってとても優れた能力を発揮する子どもたちもいます。
「サヴァン症候群」といって映画やドラマ、小説などでも取り上げられているので、ご存知の方も多いかとも思います。
主に記憶に基づく能力で、例えば、
- 「本を読んだだけで一言一句すべて記憶してしまう」
- 「一度みた風景を写真のように詳細に描く」
- 「年月日を聞くとすぐその曜日が答えられる」
- 「並外れた暗算、暗唱ができる」
- 「一度聞いた曲を複雑であっても再現できる」
- 「複数の国の言語を覚えて自由に話せる」などです。
原因は特定できていないのですが、自閉症スペクトラムの子どもたちの可能性はまだまだ研究段階です。