早い気づきのポイント
発達障害は、つまずきの原因を「本人の努力や気持ちの問題だ」と誤解されやすく、「頑張っても頑張ってもうまくいかない」と自分自身を責めてしまいがちです。
そのため、できるだけ早く気がつき、適切な支援を始めることで、社会に適応する力を育てられます。つまずきを減らし、自分でできるような工夫をしていけるのです。
では、「早い気づき」にはどんなポイントがあるのでしょうか。
一般的には、
自閉症スペクトラムは3歳前後から
ADHD(注意欠陥多動性障害)は3歳(入園後)から
LD(学習障害)は6歳(就学後)から
が気がつくタイミングと言われています。
今は発達障害も広く知られるようになり、さまざまなサイトや本でチェック項目が紹介さてれいます。ですので、それを参考にしてみるのもいいと思います。
ただ発達障害は、症状が人それぞれな上に、環境によってもつまずきが増えたり減ったりします。
そこで、親の「困った」を基準にしてみてはいかがでしょうか。
親の「困った」はそのまま子どもの「困った」に繋がっています。子どもがどういう状況で、どういう時に、どんな風につまずき、どう困っているのかを具体的に細かく見ていきます。「困った」はその子を知り、適応力を育てるとても大事なチャンスなのです。
また発達障害に限らず、子どもは成長の過程でたくさんつまずきます。大人だって、うまくいかないことや失敗することはあります。
ですので、「困った」は誰でも共通の「自分を知るチャンス」「適応力を育てるチャンス」にもなっています。
「どうしてこの子はできないんだろう?」
「どうしてちゃんとやってくれないんだろう?」
困ったときは、こんな質問が出てきます。
それを、
「何が原因でできないんだろう?」
と質問を変えてみます。
この質問には2つのメリットがあります。
1つ目は、原因を事柄にフォーカスするので、人格を否定しないで済みます。
「この子の何が悪いのか?」と質問すると、悪い所探しになってしまいます。そうではなくて、「何か理由があるはずだ」と原因をひとつひとつ確認していくのです。
2つ目は、原因を事柄に求めるので、「どうすればできるようになるのか?」と未来志向で考えられます。
本人の感情や努力が原因ではなく、事柄が原因だと考えるので、その事柄を工夫して変えていくことができます。
例えば、
情報をインプットすることがうまくいっていないのか
(実は指示が理解できていなかった)
理解はできているがうまくアウトプットができないのか
(実はやり方がわかっていないだけだった)
そもそも物理的にできないことを要求してしまっているのか
(実は頑張ってもできないことを期待していた)
など、細かく具体的に順を追って子どもの様子を観察します。
これは、発達障害に限らず、自分や他人を知る物差しになると思います。
「困った」はネガティブなだけでなく、子どものことを知るチャンスでもあります。いつもと少し違う質問で、「困った」を観察してみると、違った景色が見られるはずです。