どうして障害を持って生まれてきたのか
もう何十年も前の話になりますが、ある中学生の女の子が書いた作文があります。
その子の弟は重度障害を持って生まれてきました。その子や周りの友達と違って、一人でできることはほとんどなく、自由が少ない状態でした。
お父さんとお母さんはずっと弟につきっきりで、その子も弟のサポートをしていました。
その子は、いつもいつも考えていたそうです。
どうして弟は障害を持って生まれてきたのか。
そして、弟と日々接している中で、その答えに気がつきました。
それは、弟が生まれてきてくれたおかげで、「当り前のことや普通のことに気がつき、感謝し、幸せを感じられている」ということでした。
また弟が、ちょっとしたことでも自分でできるようになると、その家族はみんなで喜んだそうです。
その作文は、「弟が障害を持って生まれてきた意味は、私たちにたくさんの幸せを教えてくれるため。」と結んでいました。
障害の意味について、とても優しい定義だと思います。
私たちは、一般的な言葉の定義を当り前のように受け入れています。でも本当は、この作文を書いた中学生のように、自由に言葉の定義を決めることができます。
障害、マイノリティ、普通とは違う、王道から外れてしまった、不器用すぎる、そんな言葉にはネガティブな定義もあります。もちろん、優しい定義だけではやっていけない、そんな生易しいものではない、そんな意見もあると思います。ただ、言葉の定義は自由に決められるのです。
大切な人が住む世界は、どんな定義が「普通」になっているといいだろう。
そんな視点で、改めて言葉の意味を考えてみると、言葉も違う顔を見せてくれるかもしれません。