知能はご褒美で上がるのか
IQ(知能指数)は生まれつきのもので、それが努力で上がったり、怠けて下がったり、ということはない、と一般的に言われています。確かに知能とは不変のものでそうそう変わるものではないのです。ましてやちょっとやる気を出したからといって、ぐんと上がる類いのものでもありません。
しかし、それを覆す実験が実は行われているのです。
まずは、カルビン・エドランドという研究者が1960年代後半に北カリフォルニアで行った実験です。
<実験①>
- 中流の下位層、下流層出身の5~7歳の子ども79人を無作為に2つのグループに分ける。
- その子ども達にスタンフォード・ビネー式の知能検査を受けてもらう。
- 知能検査を受けた7週間後にもう一度同じような検査を受けてもらう。
- その時に、1つのグループの子ども達には、1つ正解するごとにM&M’sのチョコレートを1粒あげる。
結果はどうなったでしょうか。
まず、最初の検査では2つのグループのIQはほぼ同じでした。
しかし次の検査の結果は、M&M’sのチョコレートをもらったグループの方が、IQがなんと平均12ポイントもあがったのです。
これをさらに発展させた、サウスフロリダ大学の実験があります。
<実験②>
- まず子どもたちに知能検査を受けてもらう。
- その結果から、平均IQが約119、約101、約79の3グループに分ける。
- さらに、それぞれのグループを2つに分け、もう一度検査を受けてもらう。
- その時に、それぞれ片方のグループの子ども達には1つ正解するごとにM&M’sのチョコレートを1粒あげる。
さて、結果はどうなったかというと・・・
平均IQが約119、約101のグループでは、1回目の結果よりIQが伸びることはありませんでした。
しかし、平均IQが約79のグループは、M&M’sのチョコレートがもらえたグループで平均IQが約97まで上がったのです。
「チョコレートでIQが上がった!」という結果には驚きです。
これらの実験から、やればできる子が案外多いこと、それにはモチベーションが大切なことがわかります。「チョコレートがもらえる!」といつもよりもうちょっと頑張るだけで、IQ約101のグループとほとんど変わらない結果にまで上がっています。
少し話は飛びますが、普段のテストの結果が振るわない、というだけで自分は勉強をやってもどうせダメなんだ…
なんて諦めるのは早い!!とも言えます。
問題はモチベーション…
問題のモチベーションはどうやって上げていけばいいのでしょうか。
今回はチョコレートがモチベーションになっていますが、ご褒美を与え続ければモチベーションがキープできるか、というとそうでもありません。
残念ながらモチベーションについては、さまざまな研究がされていても、まだまだわからないことだらけです。
ただ、チョコレート一粒で結果が変わったのですから、あと一歩だけでも頑張れば得られる結果は違ってくるはずです。もうちょっと、もうひと踏ん張りなら、何とかなりそうです。
自分を励ますことは、他人を励ますよりも大変です。自分はどういう時に諦めない力を発揮できるのか、観察してみると自分だけの「チョコレート」が見つかるかもしれません。