発達障害は特性がそれぞれ
発達障害には大きく分けて3つの特徴があります。
2、LD(学習障害)
3、自閉症スペクトラム(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群)
ただ、これらはお互いに併存しやすい傾向があります。
特性がはっきりと分かれるのではなく、いくつか、あるいは全部の特性を一緒に持っている子も少なくないのです。
日本の研究ではありませんが、以下のような結果が報告されています。
◇ ADHDの30%以上がLDの特性も一緒に持っている。
◇ LDの30%~50%がADHDの特性も一緒に持っている。
また、以前はADHDと自閉症スペクトラムはどちらか一方の診断でしたが、現在は同じ子どもに両方の診断が出ることが認められています。
日本でもH24年に実施した文部科学省の調査でも、特性が重なって出ていることが報告されています。
ADHDかつLDが疑われる児童は1.5%(約15万人)
ADHDかつ自閉症スペクトラムが疑われる児童は0.7%(約7万人)
LDかつ自閉症スペクトラムが疑われる児童は0.5%(約5万人)
全ての疑いがある児童は0.4%(約4万人)
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
この他にも、発達性協調運動障害、トゥレット症候群、強迫性障害、てんかんも発達障害と一緒に出やすい特性と言われています。
発達性協調障害とは、異なる動作を同時に動かすことが苦手なことです。
手と手、手と足、手と目などそれぞれの動作を一緒に行うことを協調運動といいます。
例えば、
目でボールを追ってキャッチする、
ピアノを両手で弾く、
縄跳びで縄を回しながらジャンプするなどです。
これがうまくいかないのが、発達性協調障害です。
極端な不器用、極端な運動音痴というイメージがわかりやすいかと思います。
具体的には、就学前の子どもの場合、
ボタンをはめ、はずしができない、
簡単な(転がす⇔受取る)キャッチボールができない、
靴の左右を間違える、靴のひもがうまく結べない、箸を使えないなどです。
小学生の場合、
消しゴムをうまく使えない(紙が破ける)、
定規・コンパスが使えない(ズレてしまう)、
ますの中に字を書けずはみ出す、自転車が乗れない、
体育、音楽、図工が極端に苦手などです。
特に、ADHDやLDと一緒に出る特性です。
次に、トゥレット症候群です。
チックの方が聞きなれているかもしれませんが、まばたきや顔をしかめるなどの動作を頻繁に行うことです。
その他にも、首を振る、身体をゆする、腕や肩を振り回すなどがあります。
また、動作だけでなくうなり声、ため息、など音声を頻繁に行うものも含まれます。
強迫性障害は二次的に出てくる特性にもなっています。
本人の意志とは関係なく頭に浮かんでしまう不安な気持ちや不快感(強迫観念)を打ち消すために、同じ行動(強迫行為)を繰り返してしまうものです。
最後にてんかんとは、これも本人の意志とは関係なく、痙攣したり、身体が硬直したりする発作が起きることです。
てんかんの原因は脳の神経細胞が突然活発になりすぎることです。
発達障害も脳の機能障害と言われているので、併せて出やすい発作というのも何か関係があるのかもしれません。
ただ、いずれにせよ発達障害と言っても本当に特性はさまざまです。
また環境の変化や成長に伴って特性は変わっていきます。
だからこそ、子どもたちひとりひとりの特性をよく観察し、その子に合ったアプローチが必要なんです。